<連載>パレスチナに行ってみた2018 【ガザ空爆直後の出発なのに、家族は見送りもしてくれなかった】
パレスチナに対する一般的な印象
「パレスチナへ行く」
と言うと、みんな引きます。
「大丈夫なの?」「戦争中でしょ」
はじめてパレスチナに行った2015年
もちろん、それは家族も同じ。
2015年、はじめてパレスチナに行く出発の朝、妻と娘は、心配そうに僕を見つめ、まるで戦地に赴く兵士を送るかのようでした。
こんな感じ
(ドラマ「ウォーキングデッド」より)
ところが、、、
4回目のパレスチナ、今年2018年
こんな感じ
(カートのブログより)
もう今年は4回目なので、すっかり安心しきっているのか、爆睡。
そろそろ出発しようとしてるのに、まるで起きる気配がありません。
奥さんは、大口開けて寝てるし、高1の娘にいたっては、上半身裸で寝ている始末。なんでそんな姿なのかというと、その原因は極度の暑がり。
娘の暑がりは、筋金入りで、
2歳ごろは、真夜中に暑くて全部パジャマを脱いでしまい、朝には、こうなっていたし、
最近も、風呂の洗い場で全裸で寝てたし、(本人曰く、背中が冷たくて気持ちよくて寝てしまうらしい)
風呂から上がってこず、呼んでも全然応答がなく、心配になって、風呂の扉を開けて、
目の前に見えたものは・・・
(映画『ジェーン・ドゥの解剖』より)
事件かと思うわ!
娘が修学旅行のとき心配していたのは、
「いびきかかないかなぁ?」とか「変な寝言言わないかなぁ?」ではなく
「オッ◯イ出さずに寝れるかなあ」
でした。
将来が心配です。
話が脱線しましたが、
さすがに2週間も会えなくなるのに、見送りなしに出発するのは寂しくて、
でも、無理やり起こすのも「あ、寂しかったんでしょ!」と思われるのが悔しくて、
「ガタガタ言わせて起こす作戦」を決行。
どういう作戦かと言うと、
扉を「バタン」とさせ
咳払いを「ゴホン」し、
廊下を「ガタガタ」歩き、
大きな音で間接的に起こす!
という画期的な作戦。
これなら、
僕が「寂しかった」ことがバレずに、
起こすことができ、見送りをしてもらえる。
俺って、天才!
と思いながら、
家中ガタガタ言わせました。
が、
しかし、
一向に起きる気配がありません。
もういい!
確かに、家を出発するのが早朝だと言っていなかった僕も悪い。
でもさ、でもさ、起きてよー!
そして、3年前のように、僕が大切!っていう感じを出してよー!
グスン
もういい!
僕が帰って来れなくて、後悔しても知らないからな!
すぐいじける僕は、心の中で捨てセリフを残して家を出たのでした。
パレスチナは危険か? 安全か?
答えは、危険でもあり、安全でもあり。です。
出発2週間前2018年7月14日のガザ地区への空爆の様子
どういうことかと言うと、、、
パレスチナには、ガザ地区とヨルダン川西岸地区があります。
ガザ地区は、数年に一度、イスラエルによって空爆されます。
それはそれは、ひどい有様で、こんな非道が許されるのかと怒りが湧いてきます。
ガザ地区は分離壁に囲まれ、10年もの間イスラエルによって完全封鎖されているので、イスラエルの許可がない限り入ることはできません。
(ガザ地区については、また別の機会にお話しします)
我々が行くのは、ヨルダン川西岸地区。
ここも、毎日のようにイスラエル兵によってパレスチナ人が殺されています。
ただ、ヨルダン川西岸地区の街自体は、普段はとても平和。
パレスチナ人も、とても陽気で温厚で親切です。
驚かれるかもしれませんが、
毎年夏、パレスチナで平和を感じてリラックスして、
日本に帰ると、殺伐とした空気に緊張します。
この感じは、行ってみないとわからないと思いますので、興味がある方は、パレスチナに実際に行ってみることをお勧めします。
イスラエルのベン・グリオン空港へ
2018年7月30日。アエロフロート航空で、モスクワからイスラエルのベン・グリオン空港に向かいました。
パレスチナには、空港がありません。
パレスチナに入るには、イスラエルから陸路か、ヨルダンから陸路のどちらかしかありません。
勘のいい人なら、疑問に思われるかもしれません。
「パレスチナとイスラエルは戦争をしているのに、なんでイスラエルからパレスチナに行けるの?」
「ガザ地区に行くのに、なんでイスラエルの許可がいるの?」と。
情報に対するそういう目線は大事だと思います。
マスコミの報道からは、「イスラエルとパレスチナは『戦争』をしている」というイメージが作られていますが、
真実は、『戦争』ではなく、
「パレスチナはイスラエルによって『占領』されている」のです。
夜景の奥がガザ地区
もうすぐ、ベン・グリオン空港に着陸します。
この夜景の奥のガザ地区に、爆弾が落とされています。
同じ上空の機内では、イスラエル観光でワクワクしている人たちが乗っています。
この不条理が、僕にはどうしても納得できないのです。
(つづく)