<連載>パレスチナに行ってみた2018 【歯痛の限界。パレスチナ人の歯医者の治療を受ける!?】

パレスチナ

今年の中東の旅は、最悪です。
到着してすぐ、奥歯の詰め物が取れて、細菌に感染してしまい、歯茎が腫れ上がり、歯が痛いなんてもんじゃありません。
歯茎だけでなく、頬や顎、首筋まで腫れて、肩から眼まで痛い。。。

こちらに来て1週間。カメラのファインダーを覗いている以外は、「歯が痛い」しか考えられません。

食事のたびに、究極の選択を迫られます。

A 食べて満腹になるが、歯の痛みはさらに増す。
B 食べずに空腹に耐えねばならないが、歯の痛みは現状維持。

行くも地獄、戻るも地獄とは、このことでしょう。

痛みで朦朧として
砂漠の洞窟に通じる道路工事の撮影中、砂山から滑落しました。
でも、咄嗟に、カメラは守りました。カメラを持つ右手を高く掲げて体の左側で受け身を取って。
「おれ、カメラマンの鑑だな、偉いな。」と、足の指から血を流しながら、ナルシストになることは忘れません。

見かねたアースキャラバン代表の遠藤喨及さんが指圧治療をしてくれます。
(喨及さんは、僕の指圧の師匠でもあります。今度、タオ指圧についてもブログで書きたいと思います)
首や腕のツボがビンビン響いて、みるみる痛みが取れて行きました。

しばらくは、「ああ、これで大丈夫だな」という感じだったのですが、
昼食を食べたら、食べ物が患部にまた入り込んでしまい、激痛復活*\(^o^)/*
いくらタオ指圧が効くとはいえ、神経むき出しなので、やはり歯科で塞がないとダメなのか。
しかし、ここは、中東。。。

「いやや〜〜〜、中東の歯医者なんて、怖すぎる〜〜」

(↓中東の歯医者のイメージ)
  患者A「奥歯が痛むんですが」
  歯科「とりあえず、歯抜きましょう」

  患者B「歯茎が腫れてしまったんですが」
  歯科「とりあえず、歯抜きましょう」

なんか、とにかく歯は抜いちゃえ!みたいなイメージないですか?
ペンチでエイヤっと、麻酔なしで。
実際、歯2本で笑うおじさんとか、よく見かけるし。

「いやや〜〜〜、中東の歯医者なんて、やっぱり怖すぎる〜〜」

しかし、もう歯痛も限界。
歯医者に行くしか、ありません。

しかし、最大の問題が!

僕は、英語が苦手なのです。

中東でアラビア語も英語も話せない僕が歯科に行く。こんなおぞましいことがあるでしょうか?

これだけは、何がなんでも英語で伝えるのだ!と
下の3つの英文だけは、ネットで必死で調べました。

 ①My filling came out.
 歯の詰め物が取れました。

 ②Gums swollen and painful.
 歯茎が腫れて痛みます。

 ③Please do not tooth extraction.
 抜歯しないでください。

ああ、こんなことなら
イーオンで無料体験レッスン受けとけば良かった。。。
GABAでマンツーマン英会話しとけば良かった。。。
NOVAで駅前留学しておけば良かった。。。

東エルサレムのパレスチナ人経営のホテルに戻り、アースキャラバン・イスラエル代表のマガリに、近くに歯科がないか助けを求めます。
マガリは、イスラエル人なので、イスラエルの歯科を紹介してくれると思いました。
中東の中でも、イスラエルは近代化が進んでいるので、少し怖さも減ります。

ところが、マガリは、ホテルのフロントに聞きます。
(自分が知ってるイスラエルの歯科を紹介してくれるんじゃないの!?)

マガリ「ここら辺に、歯医者さんないかしら?」
マジリン「ああ、あるよ」

と答えたのは、ホテルのパレスチナ人・マジリンさん。

マジリン「4軒先にあるから、連れて行くよ」

と笑顔で答えます。

「ちょっと、待った〜〜!イスラエルの歯科じゃないの!?パレスチナ人街の歯科!?」

マジリンの善意の塊みたいな笑顔に気圧されて、断れる雰囲気ではありません。

 THE END.さよなら、僕の奥歯。

が、しかし!捨てる神あれば、拾う神あり。
英語のできる日本人のみあさんが歯科まで付いてきてくれることになったのです!

みあさん、ありがとうございます!ありがとうございます!

マジリン「俺も行ってる歯医者だから、安心しな」

ごめん、マジリン、全然安心はできない。

マジリン「ここだよ」

え?ここ?ここですか?

嫌な予感。

嫌な予感×10

やっぱ、帰る!
この窓から逃げる〜!

まじ、この階段、処刑場への階段にしか見えないんですけど。。。
待合室に着いたけど、どっちかって言うと、拘置所なんですけど。。。

先生が来るまで15分かかるとのこと。
僕だけでなく、みあさんもドキドキしています。
刑罰を受ける前の囚人の気分です。

そして、ようやく、先生登場。
おじいちゃん先生です。

診察室に連れて行かれます。
案の定、お世辞にも、綺麗な歯科ではありません。
僕からは見えなかったのですが、後で、みあさんに聞いたら、
歯科の器具、ペンキかなんかの空き容器に入ってたそうです(苦笑)

いよいよ診察です。

先生「これは、ひどいですね。炎症が激しく化膿してます」「悪い血を抜きましょう」

よかった、歯は抜かないんだ!
・・・
ん?血を抜くの!?

歯を抜かれると思ってたので、予想外の展開です。

先生「麻酔はしません」

やっぱりー!
腫れ上がった歯茎から、麻酔なしに、血を抜く。
絶対、痛いやつじゃん。。。

先生、容赦なく、口の中に器具を突っ込みます。

激痛を覚悟!

しますが、、、

あれ?そんなに痛くない。
なに、その優しいタッチ。
むしろ、気持ちいい。

先生「口をゆすいで」
「はい(ぶくぶく)」

口から血がダァーです。
ボクサーか、俺は!

先生「普通は、血が噴き出すんだけどね、悪い血が固まっちゃてるね。はい、口ゆすいで」
「はい(ぶくぶく)」

この工程を3回ほど繰り返しました。

先生「どうですか?」
「あれ・・・・、痛みが引いてる!」

そう、何気に名医だったのです。
その治療から、痛みもグッと引いて、歯茎の調子もどんどん良くなりました。

万歳!パレスチナの歯医者さん!
勝手に良くないイメージを持って、ごめんなさい。

もう僕に、怖いものはありません。
(つづく)