<連載>パレスチナに行ってみた2018 【なぜ東エルサレムが世界的なニュースになっているのか?】

パレスチナ

ぬぐぐぐぐぐぐぐぐ
あー、イライラする!

僕の怒りの原因を、ご説明しましょう。

パレスチナの通信環境の悪さに、イライラMAX

皆さんは、このブログを何の問題もなくご覧いただいてると思います。

しかし、このブログを作るのに、どれだけ苦労をしたか!
どれだけ、苦労したか!
心して聞くがいい!(←恩着せがましい)

覚えていますか?インターネットの回線が、ADSLの頃を。
画像1枚が、上から徐々に現れ、ジジジジジジジとすごい時間をかけて表示されてましたよね。(10代の人には信じられないだろうなー)
パレスチナのホテルのWiFiが、まさにその状態。

ブログを書こうと編集サイトを開きます。
まず、そこでつまずきます。

「開かねえぇええ!」

なんとか開いて、画像をサイトにアップロードします。

「アップロード遅いぃぃいい!」

あ、画像が重いからダメなんだ。
PING画像圧縮サイトで、画像を軽くしよう。

「PING画像圧縮サイトが、そもそも開かないぃぃぃ!」

ようやく開いて、画像をアップロードして、データが軽くなるのを待ちます。
ジジジジジ・・・・・
ハタと気付く。

「そもそも、この重い画像をアップロードするのに時間かかるじゃんかよぉぉぉぉ!」

この通信環境の悪さにイライラはMAX。
よし、このイライラをブログにしよう。

「そして、読者にも味あわせよう!」(←性格が悪い)

編集サイトが開かない様子や、画像が開かない様子を動画で撮影して、
それをブログに載せて、僕の大変さを読者に味あわせるのだ!

そして、またハタと気づきます。

「画像1枚アップロードするのに大変なのに、動画なんかアップロードできるわけないじゃん・・・」

完全敗北。

「おやっさん、まっ白に燃え尽きたよ。異国の地パレスチナで・・・」

ようやく、ここから本題です

いま、世界で一番ホットな場所、東エルサレム。いや、今だけではなく、2000年前からずっとホットな場所でした。

つい最近も、トランプ大統領が「エルサレムをイスラエルの首都と認める」と発言し、世界中から非難を浴びました。

しかし、中東のことは、ようわからん、と言う方も多いのではないでしょうか?

そんな方のために、

東エルサレムの歴史を、簡単におさらいします

(面倒な人は飛ばしてもいいよ!)
1949年、第1次中東戦争後の休戦調停で、エルサレムは東西に分割。西エルサレムを含む地域はイスラエルが、東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区はヨルダンが統治することになりました。聖地がある旧市街は、東エルサレムの中にあります。
ところが、1967年、第3次中東戦争で、イスラエルが東エルサレムとヨルダン川西岸地区を占領、今もなお実効支配しています。しかし、それは、国際法上の違法行為。
だから、エルサレムをイスラエルの首都に認定なんてとんでもないと、国際社会は怒っているわけです。
さらに、イスラエルは、東エルサレムの中に、入植地を造りまくって、東エルサレム支配を既成事実化しようとしています。

しかし、東エルサレムには、たくさんのパレスチナ人が住んでいます。
そこで、問題が起こりました。

東エルサレムの入植地の問題


イスラエル人平和活動家のエアルさん(写真中央)アースキャラバン代表・遠藤喨及さん(写真左)

エアルさんが入植地問題について詳しく教えてくれました。
(イスラエル人の中にも、パレスチナ人迫害はおかしいと声をあげる人がいます。エライぞ、エアル!)

エアルさん
「四角い城壁に囲まれた部分が旧市街。青い部分が、入植地です。旧市街を取り囲むように、入植地が建設されています。入植者たちが城壁を囲んで自分たちのテリトリーを増やそうとしています。入植者の意図は、パレスチナ独立国が生まれないようにすること。そのためにパレスチナ人の土地を奪い続けています」

喨及さん
「東エルサレムを、パレスチナ独立国の首都にすることがパレスチナ人の長年の夢。それを入植者が阻止しようとしているんです」

釘を打ったから、土地没収!?

エアルさん
「今、私たちは東エルサレム北部のシェイクジャラにいます。180のパレスチナ人家族が追い出されようとしています。ユダヤ人は、『1948年以前に自分たちがこの土地を所有していた』と主張しています。しかし、ユダヤ人入植者は、証明書も土地の所有書も持ってません」

喨及さん
「家の中のものを何一つ動かしてはいけないという法律ができて、『釘を一本打った』ということで追い出されたパレスチナ人家族もいます。」

エアルさん  
「他にも色々な理由で、パレスチナ人家族は追い出されています。イスラエルは、自分たちが作った法律によって、ユダヤ人がなんでも好きなようにできるようにします。そして、パレスチナ人は何もできないようにします」

10年前にパレスチナ人家族が追い出された家

エアルさん
「国連とヨルダン政府によって、お金と土地を与えられ、パレスチナ難民はここに家を建てました。ところが、1967年にイスラエルが東エルサレムを占領し、東エルサレムはイスラエルのものだと勝手に決めました。そして、ユダヤ人入植者が裁判所に、ここは自分たちの土地だと登録。なんと、その主張が認められ、2008年、パレスチナ人家族の追い出しが始まりました」

どのパレスチナ人家族も元々は、現在のイスラエル国内に土地や家を持っていた。しかし、イスラエル建国で追い出され、難民になって、東エルサレムにやってきたのだ。しかし、再び、追い出されようとしている。ホントにひどい話だ!

エアルさんが「10年前、この家からパレスチナ人家族が追い出され、ユダヤ人入植者の家になりました。一番上にヘブライ語で『自分の土地に帰れ』と書いてあります」と、説明しているとき、、、

喨及さんが突然、叫びました。

10年前に、ここで指圧をしたことを思い出す!


喨及さんとカナダのユダヤ人・ローレンス

喨及さん「ここだ!」
ローレンス「Yeah! This is it!」

喨及さん「2008年、家を追い出された家族が子供も一緒に家の前の道端で寝ていて、僕とローレンスが指圧をしてさしあげたんです。そして、お金を渡そうとしたら、『お金はいらないから世界に知らせてほしい』と言われたんです! 戻ってきたんだ!」「15歳ぐらいのユダヤ人の少年が、あの家の窓から銃を持って脅していました」

抗議のため、支援者も500人ほど集まるも、イスラエル軍の催涙弾で鎮圧され、100人以上が逮捕されたとのこと。
結局、パレスチナ人家族は、追い出されたまま、ホームレスに。なんともひどい話です。当時、この事件は、国際問題になったそうです。

「お金はいらない、世界に知らせてほしい」

喨及さんは、アースキャラバンを始めて、10年後にここに戻ってきました。そして、僕はカメラを持って、この場に立っています。映画やSNS動画やブログで世界に知らせることもできます。パレスチナ人家族の願いを託されたのではないかと、身が引き締まる思いがしました。だから今このブログを書いています。世界に知らせるために。

偽物のお母さんのサイン


カリムさん(写真左)

これから追い出されようとしているカリムさんの話も聞きました。

カリムさん
「入植者たちが訳のわからない書類を作り始めました。そして、土地の権利を主張し始めました。書類の中には、どういうわけか、私のお母さんのサインがありました。『家の権利を放棄する』という書類にサインがありました。そのサインは偽物でした。入植者はその書類を裁判所に持って行きました。偽造された書類によって6年後には追い出されるます」

哀しい壁の落書き

この地区の壁にかわいらしい絵が描いてありました。

エアルさん
「東エルサレムでパレスチナの国旗を掲げることは禁止されています。壁にパレスチナの国旗を描くことも禁止されてます。だから、パレスチナ人は、その代わりに国旗の色と同じ色を使って絵を描いています」

奪う人、与える人

カリムさんの家にお邪魔すると、家族が笑顔で迎えてくれました。

アースキャラバンメンバーのペットボトルの水が半分しか入ってないのを見て、
お母さんが、「ちょっと待って」と水をくれようとします。
収入の3分の1が水代に消えるというのに。

パレスチナ人から「土地」を奪うイスラエル人。
異国の人間に「水」を与えようとするパレスチナ人。

やるせなくなって、胸が痛くなってしまいました。
(つづく)

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